何故このアニメが「眠れる森の美女」のSF版なのか
解説します
↑画面いっぱいの目のクロースアップは「ブレードランナー」オマージュですね
ヴィヴィの目の色が蛍石色(Fluorite Eye)なのは、カメラのレンズには
蛍石が使われていて、ヴィヴィが100年の旅で見て来た物を歌う
作品だから(スタッフインタビューより)とか完璧過ぎだろ…
<あらすじ>
我々のいる現在から数十年後の未来
人類初の自立人型AI「ヴィヴィ(正式名称はディーヴァ)」は
テーマパーク「ニーアランド」で自分の「歌でみんなを幸せにする」
に基づき歌っていたが、人気はいまひとつ
そんな時100年後の未来からAI「マツモト」が
「いまから100年後にAIは人類を滅ぼす、それを阻止するのを協力して欲しい」
と持ち掛ける
マツモトを不審に思うヴィヴィだったが
AIの歴史をある転換点を修正することによって
人類滅亡の未来を回避する「シンギュラリティ計画」に協力する
<感想(ネタバレあり)>
最初にこのアニメを視聴した時
私は単純に「タイムトラベルSF」だと思って
最後まで観てました
ヴィヴィの使命が「歌でみんなを幸せにする」という内容の
時点で「おそらくヴィヴィの自己犠牲的な行動で人類滅亡が阻止されるんだろうな」
くらいには先を予想していましたし、実際にそういう
結末になるんですけど
ラストシーンで機能停止してしまったヴィヴィが
目を覚ます(髪型がロングヘアからショートヘアに変わっている)んですが
特に何も考えずに「ヴィヴィ、再起動出来たんだ良かったね(´;ω;`)」と
無邪気に観終えました
かなりこのアニメの事が好きになっていたので何度か見返して
いるうちに「このラストシーンはいったいどういう意味なんだろう?」と
悶々としていました
ヒントは
「エピソード1 My Code-歌でみんなを幸せにするために-」
にありました
ヴィヴィのファンである12歳の少女、モモカ嬢が
見せてくれる絵本で、このアニメが「SFの皮を被ったおとぎ話」で
あることが示唆されていたんですね(^^ゞ
どんだけ鈍いんだ私は…
そこから「あ、これおとぎ話なんだ。じゃあ元ネタはなんだろう?ラストで
ヴィヴィが目覚めて終わるな、それまでは眠っていた…そういえば絵本で
あったな、なんだったけ?そうだ!「眠れる森の美女」だ!」と
分かった(←自分で勝手にそう見做しているだけかも)時
小躍りしちゃいました😅
「眠れる森の美女」のあらすじは意外と長いので
詳細は各自Wikipediaを参照してもらって
ここではざっくりと説明しますと
「悪い魔法使いによってお姫様は呪いをかけられ眠りについてしまい
王も王妃もお城もお城にいる人々も眠りについてしまう。城のまわりには茨が急速に繁茂し中に入れなくなってしまう。100年の後近くの国の王子様がこの国を訪れて
お姫様は王子様の口づけによって目を覚まし、同時に城の人々も全員目を覚まし
王子と王女は結婚して幸せに暮らしました」
となります
つまり「100年の眠り」は「100年の旅」で、「悪い魔法使いによって呪いにかけられた
王様達」は「AIに依存するようになってしまった人類」で「城のまわりに急速に繁茂した茨」は「過剰に発展してしまったAI」を指しているんだと
「城」は「アーカイブ」であり「アラヤシキ」でもありますね
エピソード2 「Quarter Note -百年の旅の始まり-」でアラヤシキが
夜景に浮かび上がるんですが、もうまんまお城ですよね
これはSF作家アーサー・C・クラークの第三法則
「十分に進んだテクノロジーは、魔法と区別がつかない」じゃないですか!
そして「王女に口づけする王子様」は「マツモト」なのではないかと
ラストエピソード「Fluorite Eye's Song」でアーカイブに接続(口づけ)を
して(アーカイブはヴィヴィとネットワーク上で繋がっていますからね)
「AIによる人類抹殺計画」を阻止することで「呪いを解く」
もちろん「王女様」は「ヴィヴィ」です
だからラストシーン、目覚めた場所はアーカイブ内じゃなくて
普通の部屋で、ピアノが白くてヴィヴィの来ている服が
普通の服、ロングヘアからショートヘアに変わっているのは
100年の旅という彼女が見ていた夢
の中での役割が、目覚めた事で終了して「呪いが解けた」から
ちなみに、ヴィヴィのロールアウト(すなわち誕生日)の
6月19日に合わせて最終話を放送して円環が閉じて
るんですよねー(そこまで考えていたとか、凄すぎ!)
最後に歌った「Fluorite Eye's Song」の歌詞通り
「眠りから目を覚ます」んですね
<私(Vivy)がA.I(私)を滅ぼす物語>ってそういうこと
OPの最後でヴィヴィの虹彩に写るのがヴィヴィ自身ですし
目覚めた時にマツモトがいてくれたのは、サイズが小さくて
分かりにくくしてますが、王子様だから
細かいところは違いますけどたぶん「眠れる森の美女」の翻案なんでしょう
そう考えると全てが腑に落ちるんですよ😆
<何故隠しているのか?>
このアニメが「眠れる森の美女」ならなんでこんなに
まわりくどい表現をするのかですが、おそらく著作権
の問題があるからそうしているんじゃないかと
「眠れる森の美女」の著作権は「あの会社」が所有している
ので、権利関係で揉めたくないから
ここまで巧みに隠して発表したのではないかと推測します
まあ私の妄想かも知れませんので…(^^ゞ
<とにかく曲がいい>
主人公であるヴィヴィの使命が「歌でみんなを幸せにする」なので
とにかく曲がいい、というかこの作品の生命線なので
力の入りが半端ない
今だとアニメで歌があると声優さんが歌を
歌うのですが、キャラクターの声優とは別に「歌唱担当」
の方たちがいまして
・ヴィヴィ(声:種崎敦美 歌唱担当:八木海莉)
・グレイス(声:明坂聡美 歌唱担当:小玉ひかり)
・オフィーリア(声:日高里菜 歌唱担当:acane₋madder)
となっております
日笠陽子さんはアニメ「進撃の巨人」でエンディングテーマを担当しているのに
キャラの声と歌う時の歌手を別にするのはどういうことなの?
って思いましたが、八木海莉さんが歌うOP「Sing My Pleasure」聴いたら
もう一発で持っていかれましたね\(^o^)/
他にもエピソード4でエステラとエリザベスが歌う「Ensemble for Polaris」
エピソード7OPで流れる「Galaxy Anthem」
オフィーリアが歌う「Elegy Dedicated With Love」
と外れ曲は一曲も無いです
一曲「Happy Together」というのがあるのですが
これは物語の設定上「汎用人型AIが歌っている歌」なので
歌詞がテンプレ、声に抑揚がないのでこれはこれでいいんです
そして「Fluorite Eye's Song」
この曲、最初エピソード10「Vivy Score-心を込めて歌うということ-」で
初めて流れるのですが、その時はまだインストゥルメンタルなんです
これは物語上ヴィヴィが歌えなくなった事とリンクしているから
インストなんですよね
そしてエピソード12「Refrain-私の使命-」でピアノヴァージョン
そしてラストエピソード「Fluorite Eye's Song」でヴィヴィが歌えるようになって
ボーカルが入り曲が完成する
もう見事と言う他ないですね!
<ひとりのアーティストの成長物語>
このアニメ、ヴィヴィというひとりのアーティストの
成長物語でもあるんですよ
最初、彼女は人間のマネをしてポーズを決めたり
しているけど観客受けが悪いのは、いわゆる下積み時代
年月を経て徐々に人気が出て来て
知らない人が居ないほど有名になる
だけど、プロデューサーに言われるがまま
いままで他人が作った曲を歌うだけだったのが
原因で一時期スランプに陥り
そこから自ら作詞作曲した歌を歌う
こんな風にも読み解く事が出来ますね!
<このアニメ最大の謎>
ラストシーンの意味は腑に落ちたんですが
実はこのアニメには最大の謎があるんですよ
それは
「何故松本博士は性癖が歪まなかったのか?」です(;^ω^)
だって松本博士は子供の頃からヴィヴィに会っていて
何回も通い詰めているんですよ?
ヴィヴィと初対面した時なんか顔を赤らめているし
どう見ても一目惚れしてますよね
それなのに博士は人間の女性と普通に結婚する
まあ博士がヴィヴィとなんとかして結ばれようとしたら
シンギュラリティ計画がご破算になってしまいますからね
ヴィヴィと会った時に博士は若干孤立気味だった
だがヴィヴィとの約束を果たす為社交的になった
だから普通に人間の女性と結婚したんですよね(;^ω^)
まあ冗談です(;'∀')