日本の現状を表現したサスペンススリラー漫画です
<感想>
この漫画は「サイコミ」という漫画アプリで
読むことが出来ます
私がサイコミで読んでいる漫画は「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」
「終の魔術師-エンダーガイスター-」
とかなんですけど、ふとこの「明日カノ」が
目に入って来ました
その時はたしか数話読んで怖くなってしまい
そのままそれ以上は読まずに放置していました
怖くて読まなかった、読めなかった理由はおそらく
「本物」だから
「フィクションという作り物ではない」という事ではなく
「当事者達の取材に基づいて描かれた、日本の現状を
レポートしてくれている作品」だから
でもこれもふとしたキッカケで読み始めて
読み始めたら止まらなくなりましたね
1巻のストーリーは「レンタル彼女」
主人公は白井雪という娘で、彼女は幼い頃に
母親から虐待を受けて心身共に傷を負っている
顔の右半分に傷痕があり、それを「化粧で隠している」
この化粧の使い方、GL漫画だと「はなものがたり」では
まったく違う使われ方をしていて、「はなものがたり」だと
「自分の尊厳を手当し、自分の魅力に気づく」アイテムで
人によってこうも使用目的が違うのかと
雪はレンタル彼女という「嘘をつく仕事」をしている
化粧をしているので傷痕は見えない
ここで彼女は「二重に己を偽っている」訳ですが
そうでもしないと彼女は学費を稼げないし
傷痕を見られたら「憐みの目で見られ」てしまうので
隠すしかない
だがそんなことを続けているうちに
彼女の心には「穴が空いて」しまっている
「私って何者?」って事ですからね
そしてレンタル主、壮太とのエピソード
恵まれた家庭環境で育った、「そっち側」の人が言い放つ
悪意の無い、だからこそ残酷な発言とか出て来て胸糞
悪くなりますがこの漫画、読む者の「視点」に
よっては「怖いもの見たさで読む」人と
「共感をする」人に分かれますよね
レンタル彼女を利用した壮太は、恵まれた
家庭環境で、親からまともな愛情を受けて育てられている
から虐げられた者の気持ちが理解できない
レンタル彼女に「ほんとう」を求めて
いるけどその理由は
人生で初めて告白されたがそれは嘘で、壮太が
童貞かどうか確かめる為という残酷な悪戯が原因
つまり、女性恐怖症になっているから「安心を金で買っている」
壮太君、その人たち友達じゃないんで切った方がいいよ
そして「安心するために」お金を稼いでいる雪
だがそれはある種のドラッグで、彼女はドツボにハマっていて
まだ若いからいいけど歳を取って「商品価値が無くなったら」
使い物にならないと見做され、誰にも見向きもされなくなる
ここの「歳を取って商品価値が無くなる恐怖」は
別の娘のエピソードで語られます
壮太とのエピソードだけど、出会いはレンタル彼女という
アレな始まりだけど、彼が雪を暗闇から引き出してくれる
完結の仕方でもいいんじゃないかと思ったんですけど
それは違う
雪自身が「幸せになるのが怖いから」という点と
「雪に安易な救いを与えたら、取材に応じてくれた
当事者たちに嘘をつくことになるから」という点
そしておそらく残酷な、非情な判断があったと思いますが
この漫画は商業漫画で売り上げを上げなけらばならない
そして雪を、この漫画の狂言回しとして「使い続けよう」という
判断、作中のレンタル彼女事務所と同じ
「雪ちゃんこれからもレンタル彼女頑張ってよ、賞味期限が切れるまで」
という判断をしたから雪の物語は終わらせられない
1巻以降のエピソードは「パパ活女子」「整形にハマっている35歳女子」
「ホスト狂いで風俗で稼ぐ女」と現代の地獄めぐりが展開されます
をのひなお先生の「漫画が上手い」ので
ドギツイ話でも止めることが出来ずに読み続けてしまって
凡百のホラーやサスペンススリラーものの何倍も怖い
背筋の凍る表現を味わっています
ホラー要素としては彼女たちの心が壊れている部分で
サスペンス要素としては「雪は救われるのか?」「この地獄めぐりの狂言回し
を延々とさせられて、疲弊して商品価値が無くなり出版側から捨てられはしないか?」というスリリングな点ですね
読むときは自身のコンディション(主にメンタル)
を整えてから
読むことをおススメします\(^o^)/