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人生の短さについて Netflix 映画「ホワイト・ノイズ」感想

スター・ウォーズ」のカイロ・レン役

アダム・ドライバー主演の

ドン・デリーロ原作の小説の映画化です

youtu.be

 

<あらすじ>

舞台は1984

化学物質の流出による”空媒毒物事象”に遭遇した家族が

愛や死といったテーマに直面していく

 

<感想>

大学でハリウッド映画のカークラッシュについて

講義するシーンから始まります

なんかバラードの「クラッシュ」を思い出しちゃいます

 

デヴィット・クローネンバーグ監督で

1996年に映画化されてます

 

「クラッシュ」は車の交通事故と性交を結び付けた

小説で、こちらは「エロスとタナトス」ですが

「ホワイト・ノイズ」では「死と家族愛」がテーマです

 

主人公ジャック(アダム・ドライバー)は大学で

ヒトラーについて講義しているくせに

そのくせ実はドイツ語を喋れなくて、ひそかに練習する

 

これは、ジャックは死から目をそらしている

ことの暗喩で、中盤でも職場の同僚

マレー(ドン・チードル)に「君は死より大きな存在

ヒトラーを盾にしている」って指摘されている

ことからもわかります

 

劇中でやたら死や、死を連想させる言葉や物が

出て来て、要するに死は身近にあるよと言う事

いくつか数えてみますと

 

 ・殺人犯とのチェス ・夫婦が死について会話 ・スーパーのガム

 ・飛行機の墜落映像 ・布団にくるまった妻 ・講義に魅せられる学生

 ・早死にしたエルヴィス ・130㎏もあった職場の同僚がサーフィン中に事故死

 ・空媒毒物事象「ナイオディンD」 ・避難の際に死にそうな目に合う

 

第2章で有害化学物質の流出事故が起こったのに

ジャックは「ここまでは来ない」「ここは安全だ」と言って

のんきに構えているけど、汚染物質は迫って来て

食卓からいちばん最後に席を立たって避難が遅れる

 

そしてガソリンスタンドで給油時に長く外に居過ぎた

ことで、ナイオディンDを長時間浴び

「死に追いつかれ」嫌でも自分が死ぬことを

自覚させられ、しかもシミュレーションでは

どれだけ生きられるかはわからない

 

まだ自分が死ぬのは先だと思っていたのに

こんな形で死と向き合わされるのは苦痛でしょうね

 

さらに以前から様子がおかしかった妻のバベット

の秘密が明らかになり、ジャックは「死」を

殺そうと決断する

 

「死」が待つモーテルに拳銃を持って行き

そこでバトルでも展開されるのかなと思ったら

そんなことは無くて、なんかショボい薬中がグッタリ

している

 

これは、ジャックが死の恐怖から逃げずに

立ち向かった為に死ぬことの恐怖が減少したという演出

 

もちろん「死」を殺すことなんて出来なくて

おまけに夫婦共々怪我を負う

 

だが死に向き合い、痛みを分かち合った事で

夫婦の絆を取り戻す

 

そしてラストの長尺なスーパーでの

ミュージカルっぽい終わり方

 

ここでやたらカラフルな店内で生き生きとみんな

踊っていますが、要するに人間遅かれ早かれ死ぬんだから

死の不安や恐怖という「ホワイト・ノイズ」をいちいち

気にかけずに受け入れて「この目的の無い日々を今のうちに楽しもう」

つまり「死を見つめよ」って事ですね