インドのミュージカルアクション映画「RRR」の感想です
監督:S・S・ラージャマウリ
主演:N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア、ラーム・チャラン
<感想>
映画館で映画を観るなんて本当に久しぶりで
配信されるのを待っていようかと思って
いたんですけど、SNSで観た人が楽しそうに
感想を話しているのを見て、居ても立っても居られなく
なって、とうとう観に行っちゃいました
しかもIMAXなので2,500円!
金欠の身には堪える出費でしたが
後悔は無かったですね
まず冒頭、もう本当にイギリス人が
憎たらしくて「許さん!」ってなって
ここでつかみはOK!
一発の弾丸と一人のインド人の命を天秤にかけるとかさ…
この映画ではイギリス人は悪役になっていて
ちょっとその変どうなの?って部分はあるんですが
一応イギリス人にも悪くない人もいるよという
エクスキューズを、ビームが好きになるジェニー(オリヴィア・モリス)に
割り当てていてバランスを取ろうとしてますけどね
イギリスでもこの映画は公開されてるらしく
どんな顔で観ていたのかは気になります(;'∀')
主役のひとり「ラーマ(ラーム・チャラン)」の紹介シーンで
彼が優秀な捜査官である事を見せてるんですけど
あの時の群衆、エキストラ何人いるの?
そしてあの人の海の中をよく生還できたなー、と😅
インド映画なので、登場人物の顔が濃い!
ハリウッド映画を観る本数が多いと
この濃さがなおいっそう際立ちますね!
ふたりが子供を助ける為に橋のシーンで、初対面なのに
アイコンタクトだけで通じ合って
手をつなぎ合ってここでOP、これはアガります
ふたりが知り合って仲良くなり、ビームがジェニーを
好きになるくだりとかありますけど、いやお前らふたり
もう付き合っているだろ!と突っ込まざるを得ないんですが(^^ゞ
後でラーマにも故郷に思い人を残しているのが
わかりますが、どう考えてもこのふたり
結ばれないのはおかしいんじゃないかと思いますけどね😅
「ブロマンス」というより、腐女子の方が喜びそう
「心の〇〇〇が〇〇〇〇」といいますか(下品ですんません)
まあ、あくまでも男の熱い友情の物語ですからこれ
そしてインド映画の魅力のひとつ、ふたりが「ナートゥ」を踊るシーン!
この踊りを味わう為に劇場で鑑賞した方が
いいです!迫力が違います!
人間、あまりにも凄いものを観ると笑うしか無いんですよね😄
海外のNetflixが本編を配信してますけど、画面が小さいから
やっぱり劇場公開終了までに映画館まで足を運んで観ましょう!\(^o^)/
海外公式のナートゥ切り取りはこちら↓
このナートゥのシーンは、正直他の観客がいなかったら
私は拍手したかったくらい、観ていて楽しくって
これはイギリスに対して、暴力では無く踊りという文化で
対抗しているんですね
映画の全編で聞く音が、全てリズムを刻んでいる
様に聞こえてくるんですよ
ふたりは素性を知らないままなので、その為
悲劇が起こるんですけど、そこから仲直りというか
相手の事情をお互いに理解して、ビームがラーマを
救出してからの「最強の肩車」!とうとうふたりは
「合体」して結ばれちゃうんですよね(ゲス顔)
映画史上こんな強い肩車を見た事ないんですが😆
イギリス人総督とその夫人ですが、最後まで憎たらしい
奴で、いっさい感情移入出来なくさせるキャラクター造形で
もちろん因果応報な最期を迎えるんですが
そこで夫人を目の前で殺された総督が「なぜだ!」って叫ぶ
こいつ、なんにもわかっていないというか、人間
相手も同じ人間で無いと見做すといくらでも残酷に
なれるんだなーと、まあ勧善懲悪な結末です
ですが、最後の踊りのシーンと共に
カーテンコールが始まって、目を覚まさせてくるんですよね
エンディングで監督のS・S・ラージャマウリが楽しそうに
踊っているのが流れる中、8人の歴史上実在した人達が紹介されていく
あの人たちは誰?ってなると思うんですけど
エンディングで紹介されている人達は以下のとおりで
・スバース・チャンドラ・ボース ・ヴァッラブ・バーイー・パテール
・キットゥール王妃チェンナンマ ・V.O.チダンバラム・ピッライ
・バガト・シン ・タングトゥーリ・プラカーシャム
・ケーララ・ヴァルマ・パラッシ・シャーマ ・シヴァージー
という名前で、彼らは現実の歴史でインドをイギリスや、他国の
侵略や抑圧から戦った人たちで、彼らこそが本当のヒーローなんだと
ラーマもビームも一応モデルはいるんですが
史実と違い過ぎるので、関係者から訴えられたそうな(;^ω^)
視聴している間は素直にアガるところはアガって
「許さん!😡」ってラーマ達に同調して
燃え盛る炎の様に楽しんでいいとは思います
ですが、そうやって鑑賞しながらやっぱり
頭のどこかでは水の様な冷静さを持っておかないと
いけないんだよと諭してくれているのかなと
まあこの作品は、やっぱりインドの映画で
プロパガンダ的側面は明確にありますよね
たしかにインドは、過去の歴史でイギリスの統治下にあって
ヒドイ目にあい、ガンジーの「非暴力、不服従」の運動で独立する
この映画、そもそも「イングロリアス・バスターズ」
を参考にして作られた歴史フィクションなのだそうで
ラーマとビームのモデルになった人は、歴史上生きた時代が違うんだけど
「このふたりが同じ時代に居て、共闘したらどうなっていただろう?」
っていう風に考えた事が映画を作るキッカケだったそうです
だから、イギリス人をよく思って無いのは理解できます
でも、ちょっと相手をモンスターっぽく
描き過ぎたきらいは否めないですね
本場インドでのこの映画の評価が中程度だったそうで
それはこの作品の政治的な態度というか
勧善懲悪的な描写に苦言を呈するという事で
すごく健全だなーと、感情的に吹き上がらずに冷静
に観ているんですね
ここは、表現といいうものの危うさをわかっていて
映画は、ナチス時代のドイツで制作された
「意志の勝利」とかがあって
優れた表現というものは危険なもので、人を魅了するんですよね
↓監督は「レニ・リーフェンシュタール」
だから、楽しんでもいいけど
感覚的に「あれ、ちょっとやりすぎじゃね?」と
表現で感じるところがあったら、やっぱり自分の脳内に
ツッコミ役は必要で、インド国内にわかっている人達がいるんだと
2022年にロシアによるウクライナ侵攻があった時に
インドは当初、ロシア支持を表明するんですけど
それはやっぱりNATO側にイギリスがいて、インドからしてみれば
「俺たちにヒドイ事して来た国に味方なんか出来るか!😡」って
いう感情があったんじゃないでしょうか?
まあ、国際関係はそんな単純なものではないんでしょうけど
でも、そういう気持ち多少はあったんじゃないんですかね?
そんなこと言ってもやっぱり
この映画のパワーには持ってかれちゃうんですけどね
まだ劇場公開されているので、久しぶりに映画館で映画を
観て、「うお、すげー!めちゃくちゃ面白れーよ!」と
語彙力をいったん無くしてから観賞するのをおススメしま\(^o^)/