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恵まれた撮影環境の勝利 映画「新感染 ファイナルエクスプレス」感想(2016年公開)

韓国のアクションホラー映画の感想です

 

監督:ヨン・サンホ

主演:コン・ユ

新感染 ファイナル・エクスプレス [Blu-ray]

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  • コン・ユ,キム・スアン,チョン・ユミ,マ・ドンソク,チェ・ウシク,アン・ソヒ,キム・ウィソン,チョン・ソギョン,チャン・ソクファン,チェ・グィファ,シム・ウンギョン
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<あらすじ>

全国に広がる恐ろしいウイルス感染

密室と化した車内で遭遇するパニック

プサンを目指す父娘を乗せた高速鉄道

かつてない恐怖へとノンストップで走る続ける

 

<感想>

私、ハングルが読めないのでタイトルの原題が

「釜山行き」なんだそうですが、邦題は「新感染」と「新幹線」をかけて

いますよね?ここでダブルミーニング

たぶんもうひとつ意味がかかっていると私は思いますが

それは後で説明します

 

この映画、ゾンビ映画なんですけど、韓国では

公開当時、ゾンビ映画は売れないと思われていた様で

ゾンビを「あれ」や「それ」と言っていたそうな

 

冒頭、高速道路と思われる場所で

何かの感染対策をしている

どうやら「バイオ団地」という場所で生物に関わる

事故があった様子

 

車に轢かれて死亡したと思われた鹿が、しばらくして

立ち上がり、目が変色して一度死んだのに

蘇った描写で、これからゾンビ映画が始まるというアナウンス

 

場面は変わって、投資会社に勤めている

主人公のソ・ソグ(コン・ユ)は

部下に、市場の安定性や個人の影響も顧みず

「関連銘柄を投げろ」と告げたり

デスクに食べ残しがあったりする描写で

彼が冷酷な金融マンであり、バリバリ仕事をする

男である事を示している

 

彼が見ているパソコンの情報で、状況が良くない

方向に進んでいるのを描写するのはゾンビ映画のお約束

 

「子供の好きなものは?」と部下に聞き

誕生日プレゼントを購入するところで

彼には娘がいる事が分かるが、妻とはどうやら

離婚調停中

 

帰宅すると、母と娘の3人暮らしで

娘に「誕生日プレゼント、忘れて無かったろ?」とソグ

 

でも、それは別の日に過去買ってもらった

同じ物で、彼は娘を気遣って無い

 

「ママのところに行きたい」とスアン(キム・スアン)

 

スアンが歌を歌っているビデオを観るソグ

ここの歌詞が、父と娘の未来を暗示させて

じわりと雰囲気が悪くなっていく

 

で、元妻に会う為に高速列車に乗り込む親子

 

ここで、主要登場人物が紹介されて

ソンギョン(チョン・ユミ)とユン・サンファ(マ・ドンソク)の夫婦

ミン・ヨングク(チェ・ウシク)とキム・ジニ(アン・ソヒ)の学生カップ

あと、老姉妹とゲスな野郎がいる(以下ゲス野郎)

 

列車が出発、窓の向こうで異変が起きているのを

スアンだけが察知するいいシーン

もう「始まって」ます

 

車内のトイレでゾンビが出て来ちゃって

列車の中でパニックが起こるのとか、製作者意地悪過ぎだろ!

 

そしてこのゾンビ、感染スピードが速い!

噛まれて1分経ってないんですけど…😱

 

乗客は追い詰められるんですけど

ここで、ゾンビがドアを開けられない

性質を持っている事が判明する

 

まあ、開けられちゃったらそこで

この話終わっちゃいますからね😅

 

車内でスアンが老姉妹のひとりに

席を譲るシーンでソグが「あんな事をするなと」

注意する「おばあちゃんとおんなじだから」と返すスアン

 

ここはゾンビ映画のお約束のひとつ

「過酷な環境に置かれた時、人間の気高さと醜さが剥き出しになる」

シーンで、父親のスアンはまだエゴ丸出しで

サンファに「ファンドマネージャー?クソだ!」と罵られる

スアンとゲス野郎以外の主要登場人物は、自己犠牲心があり

その後の、いったん駅に降りてからまた元の列車に戻る

シーンでそれは描写されます

 

ここのシーンがすごくて、そもそも駅の構内を

貸し切って撮影させてくれたり、線路も撮影許可

降りていて、製作環境が恵まれているからこそ

出来る表現ですね

 

車掌が「まだ乗客がいる!」と「自分の仕事」を

するのも、こんなヒドイ環境なのに彼も

自己犠牲心がある人物

 

列車に戻るんだけど、そこでソグとスアン

サンファ夫婦、老姉妹とヨングクの学生カップルが

別れて列車に乗らざるを得なくなってしまい

合流するアクションシーン

 

ここは、韓国映画である事も大事だと思ってて

分かれるふたりはおそらく南北の分断を象徴させて

いるんでしょうね

 

このシーンで、ソグがまわりの人の

自己犠牲的な行動に「感染」し、初めて

他人を助ける為に共に協力して行動する

 

だがその途中、サンファが退場

ソグとの会話で「父親は犠牲になるものだ」の

言葉通り、彼はゾンビになってしまう

生まれて来る子供の名前を決めかねていたが

妻との別れ際に「子供の名前はソヨンだ!」と叫ぶ

 

ここでゾンビ映画のもう一つのお約束

「自分の愛する人がゾンビになったら?」が

表現されていて、とても上手いですここらへん

 

老姉妹も退場し、状況はどんどん悪くなって

いくのですが、この映画の「人間の醜さ代表」の

ゲス野郎を問い詰めて「何でなんだ!」とソグは

聞くけど、それはソグのエゴの逆照射なんですよね

 

部下との電話で衝撃の事実が明かされて

どうも、この感染災害の原因が「バイオ社」を

自分の仕事のせいで助けた事で発生していた事が判明

 

つまり元凶はソグだった!

 

そこで泣き、何故か手を洗うソグ

「自分の手が汚れている」という自己嫌悪で

手を洗っているんですね

 

目的地の釜山駅に着く終盤、ここでも

ゲス野郎が本当にヒドクて、自分が助かる為に

他人を囮にするどうしようもない奴

 

学生カップルもゲス野郎の犠牲になって退場

 

あの車掌さんも、ゲス野郎を助けに行くけど

彼もやっぱり囮にされて「もうホントこいつなんとかしてくれ」

って気持ちにこちらをさせて、うまい演出

 

逃げるソグ達を追いかけるゾンビですが

知能があるのか無いのかわかりませんが

最後の1両だけの列車にしがみつくのは

なんか韓国の格差社会のメタファーっぽくも見えてきたり

 

で、ラスボス戦、あのゲス野郎との対決で

彼は感染している最中で、まだ人間の意識が

残っている

 

そこで彼がただ怖かったからゲスなふるまいを

していて、観客に同情させる憎い演出ですが

彼との戦いで、ソグがついに感染してしまう

 

感染が完成してしまう前に、ソグは列車から

飛び降りる事で自決、最後に浮かんだ光景は

赤子だった娘との思い出

 

残ったのはサンファの妻とスアンで

最後、軍の駐屯地にたどり着こうとするけど

軍人はふたりが人かゾンビがわからないので

射殺しようとする

 

だが、スアンが学校の授業で歌った歌を

唄う事でふたりが人間である事が分かり

助かってEND

 

上映時間が118分と少し長いのですが

いっさい中だるみのしない展開で

飽きさせない傑作です

 

これは、やっぱり映画の内容上アポカリプスの描写が

絶対に必要だから、それを撮影出来る環境が

整っているからこそここまでの映画に

なり得たんですね😊

 

こんな列車には乗りたくないですけどね!

おススメです\(^o^)/