花沢健吾先生の漫画原作を映画化した
作品の感想です
監督:佐藤信介
主演:大泉洋
原作はこちら
<あらすじ>
恐ろしいウイルス感染により
瞬く間に地獄へと変わっていく日本列島
金も才能も、度胸もない漫画家志望のさえない
男を、極限のサバイバルが待ち受ける
<感想>
まず、私は原作未読勢です(^^ゞ
なので、あくまでも映画単体の感想となってます
韓国のゾンビ映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」が
傑作だったので、「同じ時期に公開された日本のゾンビ映画はどんなだろう?」
と気になって視聴しました
他の人が「新感染」の感想で「アイアムヒーローよりもいい!」
なんて書いていたので、そんなに期待しないで観たのですが
なかなかどうして「新感染」と遜色ない良作でした
序盤、主人公「鈴木英雄(大泉洋)」は
漫画家のアシスタントをしていて、彼が妄想癖が
ある事が描写されます
まあ表現者なので、それが創作で生かされたりも
するんでしょうけど、どうもデビュー?から
15年経っても目が出ない様で、彼女の徹子(片瀬那奈)にも
愛想をつかされている
この序盤の間、ニュースでヤバい事態が進行している
事が描写されて、ここでもう「これはいいゾンビ映画になる!」と
確信しましたね
そして、ゾンビ映画では、主人公がいちばん最初に
出会うゾンビでその映画の過酷さが分かるんですけど
なんと最初は恋人の徹子!
しかもその表現が上手くて、ドアを隔てた
投函ポストの穴から彼女の変貌が見えるという
格闘の末に、徹子は英雄が15年前に貰ったトロフィーに
刺さって退場、ここは英雄がいつまでも
すがっている過去の栄光を捨てさせる表現
仕事場に行く英雄、そこで同僚の三谷(塚地武雅)が
他の同僚を撲殺している
塚地さんはお笑い芸人「ドランクドラゴン」で有名ですが
他にも映画出演しているのを私も観ていて、やっぱり
上手いんですよねー😊
そこでウイルスに感染した漫画家先生にトドメを刺したり
その先生の愛人だった同僚が出て来て、ここらへん
なんか業界内内幕っぽくて、原作者の花沢健吾先生の
フラストレーションが表現されてるんですかね?
三谷も感染していて、英雄はここにもいられないと
街をうろつく中、事態はどんどんヤバくなっていく
描写がここでされて、ちゃんと街中や道路で
撮影許可が下りているみたいで、私はそこで
安心して「やっぱりこれいいゾンビ映画だよ!」と
ホッとしました😆
タクシーに乗り込もうとしてもたつくシーンで
女子高生の比呂美(有村架純)を守ろうと
猟銃(英雄は銃所持の免許持ち)を構えて撃つ
と、思ったらそれはまた英雄の妄想で
「なにコイツ?撃てよ!」とイラッとします
タクシー内のテレビで状況がどんどん悪化しているけど
「東テレ(テレビ東京のこと)がアニメを放送しているから大丈夫!」
と小ネタを披露、だがタクシーで移動中、同乗者が感染していたので
そこでもみ合い、車は事故り
残ったのは英雄と比呂美だけ
神社で野宿し朝になると比呂美の首に
噛まれた跡があり、彼女が「ZQN(映画内ゾンビの呼称)」
になりそうな状態
「撃っていいよ」と比呂美
ちょっとこの娘、都合がよすぎるキャラな感じ
でも、英雄は撃たない、ていうか撃てない
あ~、イライラする!👿👹
どうも比呂美は半人半ZQNらしく
しかも怪力まで身に着けたキャラに変貌している
でも、なんか眠りやすい性質になったっぽくて
英雄は困り果てて道路にたまたまあった
ショッピングカートに彼女を乗せて運ぶ
ショッピングカートに表示されたアウトレットモールが
おそらく近くにあると判断して、英雄は映画の舞台
の「富士アウトレットモール」に到着
ゾンビ映画でよくあるシチュの立てこもりですね
ここで英雄は比呂美を人質に取られて
発砲しようとするけどまだ撃たない!
「お前いい加減にしろよ!」と観ているこちらが怒ります😡
どうもこのモールには先客がいて、屋上に
コミュニティが築かれ、そこでは伊浦(吉沢悠)がボス
ここでもお約束で、「こういったコミュニティはカルト化
しているか、狂ったボスが強権を発揮している」予想通りの
だからこそ嬉しい展開
ここでは英雄は「メガネ」と名付けられます
名前というアイデンティティ、尊厳を奪われるんですね
英雄の持っている猟銃を巡って奪い合いが怒り
比呂美が狙われているのにここでもまだ撃たない英雄
ボウガンを持っている事で支配していた伊浦だったけど
ニートだった「サンゴ」に銃を奪われボスの座を追われる
平時ではニートだったサンゴが組織のボスになるという
「2重の関係性の逆転」が描写されます
捕まってボコボコにされ「なんにもなれない、自分にウンザリ」
とこぼす英雄
ここまで観て来て、なんで英雄というキャラはこんな情けないんだろう
情けなく描写するんだろう?と訝りますが
英雄を助けた藪(長澤まさみ)が
「あんたは英雄だよ」「比呂美をここまで見捨てずにつれて来た」
と慰める
ゾンビ映画では、登場人物が極限状況に追い込まれ
そこで人の本性が剥き出しになる
「試される」んですね
だから、英雄は情けないんだけど
「生きている人間は撃たない」「人を見捨てない」という
点で彼は人間性を失っていないという事なんですね
この映画のゾンビ「ZQN」は、人であった時の記憶が
あったり、少し喋れたりするのは、監督の佐藤信介の
そこのオマージュもあるんでしょうね
ここで出て来る生前陸上選手だったゾンビが
まさかラスボスになるんですよねー…
モール内の食料が底をつき、食糧庫に向かうシーン
ボスだった伊浦が先頭を押し付けられるが
そこでまた逆転が起きて、ハメられるサンゴ
メガネ呼ばわりの英雄も巻き添えを食い
彼はロッカーに避難する
屋上で他の住民が安全だと思っていると
陸上選手ZQNが、どうも走り高跳びの選手だったらしく
生前では到底出来なかった高さの跳躍を見せ
屋上に侵入、たちまち地獄絵図!😱
生き残ったのは比呂美と藪だけになり
無線で助けを呼ぶ
英雄のいるロッカーの外に転がる無線から
藪の救援要請が聴こえ、ロッカーの外に
出ようとするも、またここでも妄想が邪魔して
出られない「メガネ」!
何度も妄想、というかシミュレーションを
するけど、おそらくここは「Leap Your Faith」で
「思い切って跳べ!」って事
ロッカーから出るのは、ロッカーが子宮のメタファーに
なっていて、英雄は生まれ変わり別の存在になった描写
途中腕を噛まれるけど、英雄は腕に高級時計を巻いていたので
事なきを得る
モールに入った時に見せられた時計がここで出て来て
上手い伏線だったと
平時ではとても手に入らなかった物が手に
入れられるのもゾンビ映画の魅力ですね
そしてZQN化した伊浦をかわし
3人は合流
サンゴとアベサン(徳井優)も合流して
最終決戦、左右を大量のゾンビに囲まれて絶体絶命の状況
ここで、既に覚醒した英雄が覚悟を決め
「弾は96発ある」と奮戦する
ここまで撃たなかった英雄がついに撃つのは
本当にカタルシスがあって、憎いですね!
戦ううちに、サンゴとアベサンは最期を迎え
アベサンは、先にZQN化した妻と心中の様に死ぬ
「自分の愛する人がゾンビになったら?」という
ゾンビ映画の鉄板表現
なんとかしのいだかな?
と思ったら、上から一匹降って来て
この惨状の元凶「陸上選手ZQN」登場!
緊迫感は最高潮に達し、撃退
生き残った3人は車でモールを脱出
車内で藪が英雄の名前を聞き「俺は英雄(I Am A Hero)」
と名乗り、名前(自己の尊厳)を取り戻す
藪も同様に本名の「小田つぐみ」を名乗り
彼女も自分を取り戻し映画のタイトルが出て来てEND
なんか調べてみると、漫画の中の1エピソードを
抜き出して製作されているらしく
この後も物語は続くみたいですが
いい切り取り方がされていると思います
日本のゾンビ映画も負けていません!
おススメです\(^o^)/