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「詩」の映画 映画「パターソン」感想(2016年公開)

あるバス運転手の日常を綴った映画の感想です

 

監督:ジム・ジャームッシュ

主演:アダム・ドライバー(「スター・ウォーズ」)

youtu.be

 

<あらすじ>

パターソン(アダム・ドライバー)はバスの運転手

彼は秘密の誌をノートに書き留める事を

楽しみにして日常を過ごしている

 

<感想>

すごく淡々とした作品です

月曜日から始まって、パターソンとその妻、ペットのマーヴィン

が暮らす日常がつづられて、イベントというか

ちょっとしたトラブルがあるんだけど、それも

特に大事にならずに終わる

 

そしてこの映画の最大の特徴は、ソーシャルメディア

テレビ、ラジオが出て来ない事

多分ここがポイントだと思っていて

パターソンは妻に詩を発表する事を勧められるけど

乗り気ではない

 

彼の詩作は、あくまでも自分が楽しいからしているので

あって、有名になりたいとか、金持ちになりたとか

ではない

 

「自分の存在をメディアに知られる」事を忌避している

 

それは何故かというと、昨今のSNSを見ると

そこでは炎上があったり、気に入らないツイートはミュートにしたり

お店でマナーの悪い行動を何故かアップしたりして

ネットやマスメディアが良くないものである

事が分かってしまっているから

 

だから、彼はそこに触れず、知られないようにし

ただ日常を淡々と「パターン、型に自分からはまって」過ごしている

「パターソン」は「パターン(型にはまる)」と「パーソン(個人)」や

彼が住んでいる街の名前、映画に出て来る有名人とかけていると

 

韻を踏んでいるんですね

 

自分ではわからなかったのですが、これは

監督のジム・ジャームッシュの脳内パターソン市で

この映画自体がひとつの詩なんだそうな

 

しかも、主演のアダム「ドライバー」がバスのドライバーを

演じているのも韻を踏んでいるという

 

妻はクリエイター気質で、彼女は家の内装や、お菓子を作る女性で

だからパターソンも世に出て欲しいと思っているけど

彼は本当は乗り気じゃない

 

そして土曜日に、ペットのマーヴィンが彼の

秘密のノートをボロボロにしてしまう

 

落ち込むパターソン

 

でも、よく寄る滝の見える公園で、日本人から

やって来た詩人(永瀬正敏)に

白紙のノートをプレゼントされて、また詩を再開し

また月曜日が来て円環が閉じて映画は終わる

 

ちなみにこの滝の落差、実は23メートルで、パターソンの運転する

バスの番号とおんなじなんですよね

 

本当に淡々とした日常生活が描かれていて

「?なんのこっちゃ?この映画何が言いたいの?」って

なるけど、これはおそらく今のネットワーク社会への

静かな抵抗なんだと思います

 

パターソンは今時スマホを持っていないし

パソコンもタブレットも持っていない

普通の携帯電話も無い

 

「無くても生きていける」とパターソン

SNSやメディアに繋がったり関わったりするのを

避けているんですね

 

テレビもラジオも無い、というか出て来ない

たぶん、自分の周りの日常さえあれば

彼は十分で、それ以上はいらないんだという態度

 

これこそがこのネットワーク社会に対する

静かな抵抗なんですね

 

彼は別にそれを意識してしている訳では無くて

ただ日常を過ごす

 

その淡々とした日常には、でも少し変化があって

それがいいんだというのが監督の言いたかった事

 

オフビートな笑いで描かれる日常映画

おススメです\(^o^)/