1999年にリメイクされた映画「グロリア」の
1980年のオリジナル版と比較します
監督:シドニー・ルメット
主演:シャロン・ストーン
まず、あらすじとしてはマフィアの犯罪の証拠を
持った少年を、かつてマフィアのボスの恋人だった
グロリアが、少年と接するうちに母性に目覚め
彼を守る為に戦う話で、大まかな点では同じです
オリジナル版はこちら
私の感想はこちら
でも、大まかな点は同じでも、細かいところが
変更されていて、それがオリジナル版のいいところを
殺してしまっていると感じました
変更点を挙げてみますと
・グロリアが「強い女」じゃない、銃さばきがもたつく
オリジナル版では物凄く手際がよくて、彼女が修羅場を潜って
来た事を表現していた
シャロン・ストーン版は、男の代わりに刑務所に入っていたけど、男はもう彼女を
捨てたいのに、それを知っていてもグロリアは若干の未練を残している
・少年を守る事になるいきさつが違う
オリジナル版ではお隣さんだったので、少年を家族に
託されるけど、シャロン・ストーン版では昔の男の
家に少年が居て、彼をなかば成り行きで連れ出す
・オリジナル版では、グロリアがガンガンマフィアを撃ち殺します
彼女の手が汚れていて、無垢な存在である少年を守るからこそ
その対比で彼女の行為が気高く写っていたのに…
・グロリアが母性に目覚める展開が不自然過ぎる
オリジナル版だと、少年をグロリアが抱っこする
そこで、その行為だけで彼女が母性に目覚める事が
観客には納得させられる
・音楽が良くなくて、オリジナル版のビル・コンティの
音楽がいかに映画をよく見せていたのかがわかってしまっている
・ラストシーンがいちばん駄目で、グロリアがいったん
死んでしまったのかな?とオリジナル版は思わせて
少年が墓場でグロリアの事を思い寂しがっていると
実は彼女は生きていて、ふたりは再会の喜びを
分かち合うというすごくいい終わり方なのに
シャロン・ストーン版は、ふたりは分かれることも無く
少年をいったん教会に預けるも、グロリアが思い直し
少年と疑似家族になって終わるという「?」なEND
たぶん問題はふたつあると思っていて、グロリア役を
シャロン・ストーンにしたのはミスキャストだと思います
冷酷と言うか、シビアな女性を演じるのが多い
彼女を、弱い存在として描こうという意外性を
狙ったのかも知れませんが、グロリアは強くて
カッコイイから感動したんです!
それともうひとつ、製作者がグロリアという映画を
愛していないんじゃないんでしょうか?
リメイクならそれはそれでちゃんと作って欲しかったです
非常に残念な出来です😩