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私たちが立っている(とされる)「地面」について 作:山本直樹 漫画「レッド 最終章 あさま山荘の10日間」感想

山本直樹先生の「あさま山荘事件」の顛末を

描いた漫画の感想です

 

ja.wikipedia.org

 

まず、この漫画の前日譚と言うか、この

事件にいたるまでの経過を綴った漫画が

同じく山本直樹先生の「レッド」「レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ」

があって

 

 

学生運動が挫折した結果

彼らが行き場を失い、追い詰められ

挙句の果てに「内ゲバ」という壮絶な

リンチをしてしまうという最悪な展開になるんですけど

 

ja.wikipedia.org

 

山本直樹先生が生まれたのが1960年で

一連の学生運動の挫折を知ったのが小学校から中学校

あたりですから、先生は当時の状況を知っている訳ですよね

 

だから、この漫画を描いた理由ってなんなんだろうかと

考えましたが、事件を淡々と描くことで

今の読者に「自分たちが、今どういうところにいるのか」を

理解するきっかけを提供する為に描いたのではないかと

 

この漫画に出て来る学生達は、別の名前を使ってはいますが

実在の人物です

 

当時、彼らにも一定の理があると同情されていたけど

この、あさま山荘事件収束後に「山岳ベース事件」が

発覚し、学生運動の熱は一気に冷める

 

事件の2年前には、彼等とは対立していた

三島由紀夫が、自衛隊市ヶ谷駐屯地で

自衛隊に決起を呼びかけるいわゆる「三島事件」が起こり

三島は割腹自殺

ja.wikipedia.org

 

「レッド」内であさま山荘に立てこもっている最中に

ニクソン毛沢東会談」がテレビで放映され

ja.wikipedia.org

 

対立はしていたけど、社会を変えようとした

自分達より頭が良く、物をちゃんと見ていた

有名人が自死し、自分たちの理想にも冷や水をかけられ、はしごを

外されちゃうんですよね

 

警察が粘り強く説得するけど、彼らは

あくまでも闘おうとする

 

そこにもはやなんの大義が無いにも関わらず

関係の無い山荘の住人を人質に取り

銃撃戦で警官隊を何人も撃ち殺す

 

そして10日間の無意味な闘いの末、とうとう

彼等は捕まる

 

立てこもった5人の判決が書かれたのち

その後の世界情勢が時系列に表示されて漫画は終わる

 

そこには「オウム真理教による地下鉄サリン事件

アメリカ同時多発テロ事件」いわゆる「9.11」も

記載されていて、連合赤軍が行った事はただの

テロで、世界が良くなるどころか悪くしているんだと

 

オウムやアルカイダとおんなじで、そういった暴力による

世界の変革の試みなんて有害で、それは止むことが無いんだと

いう絶望、というか諦観が描きたかった事がわかる

 

最後に、ゾワッとする嫌な、ある人物による

「あとがき」が付け加えられています

 

「こ、こいつ、なんにもわかってないし変わっていない」と

「オエッ🤮」ってなります

 

最近なんだかここらへんの時代状況が

気になって読みました🤮