Amazon Prime独占配信「仮面ライダー BLACK SUN」
全話視聴後の感想です
監督:白石和彌
<感想>
内ゲバの話でしたね
だから、話の内容が陰惨になるのは
病むを得ないんですよね
「これは仮面ライダーじゃない」っていう人が
多いのは仕方が無くって、この作品、あくまでも
「仮面ライダー」というフォーマットを使って
生まれた負の遺産をなんとか解決するけど、事態は何も
変わらずに挫折する話ですからね
四肢を無くした帰還兵の話とかを撮った若松孝二さんなので
内容がハードコアになるのは必然だったんでしょう
白石和彌監督の作品はこちら↓
1972年と2022年の話を交互に行きつ戻りつし
そこで過去の出来事を意識的に反復させる
そして、怪人と人間の関係性を「デビルマン」的な
「善悪の転倒」をやったと思ったら、お互いに殺し合う
という「トートロジー(同じ)」をする
劇中に使用している音楽も、やっぱり意識的に反復させていて
ゴルゴムの旗にゆかりが「∞(無限大)」とスプレーするけど
2022年の葵が「あやとり」をしていることを
写していることからも分かる通り
ねじれを解けばあれは「〇(ループ)」で
この陰惨な世界は変わらず続いていく事を示している
最終決戦後、創世王にさせられた光太郎を
葵がビルゲニアの剣で「介錯」してあげる
(光太郎に教わった護身術をそこで使うとか、哀しい!)
そして、怪人がもう生まれない世界を作ったけど
実は何も変わらない
終盤に、いわゆる「ウヨブタ」による移民排斥運動が
描かれ、ルー大柴演じる総理、堂波真一は失脚し
政治闘争の果てに消されるけど、結局は取り換えの利く存在で
新政権にはビシュムの姿がある
でも、ビシュムは生き残ったけどあれは結局体制に
所属しないとならず、彼女は孤独でやっぱり挫折している
本当の悪、というより「ワル」は麻〇にクリソツな
寺田農演じる幹事長みたいな「悪い奴ほどよく眠る」奴
葵は当初、ただの「意識高い系女子」ってポジション
だったと思うけど、この物語でまだ若い内に
世界の闇の部分を味わってしまい、自身も怪人にさせられる
ことで、当事者意識を持ち、問題に心から取り組もうとする
けど、どうやら彼女はテロリズムでなんとかしようと
していて、ここも対話でなんとか出来ないと判断して
しまったという事は、1972年の学生運動の結末の反復で
やっぱり挫折なんですよ
最後の旗に描かれたマークの意味、あれは
「ループを抜け出し、希望を掴みたい」という
意志の表れで、ならば葵はテロリズムに走らないで
欲しいなと憂鬱な気分にさせて物語は終わる
これは観る側の体力を必要として、だからこそ
しんどくて、カスタマーレビューが低評価に
なったんでしょうね、ヒーロー物じゃないですし…
1972年とその周辺の時代背景を知っておくという
前提も必要ですし…
観ていてやるせなくて、全話視聴後ぐったりしました
以下、良かったシーンを列挙します
・「人一人の命の重さは地球以上」の台詞、明らかに1977年の
日航機ハイジャック事件からの引用ですね
・この作品の清涼剤的な役割だと思っている
3怪人「クジラ・コウモリ・ノミ」が生き残ってくれた事
・最終話でまさか昔の「仮面ライダー BLACK」のOPが
まんまかかるとか、不意打ちでしたね
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・終盤で、葵が国連でスピーチし、外でビルゲニアが
彼女を守るため戦い、死んでいく
スピーチ終了後、葵が外に出て惨状に気づき
発言した内容と裏腹な光景が展開され「挫折」する残酷なシーン
・政治家のモノマネ度がクオリティ高過ぎw
・「変身!」って言わないと思っていたけど、5話で
変身したのは驚きましたね、そこまでの溜めがあったからこそ
なんか、「やった!」と思っちゃいました
・葵が怪人になってしまうけど、それも「カマキリ」で
カマキリのメスってたしかオスを食べちゃうから
この先の彼女の行く末が不安(まさか彼女も「変身!」言うとか)
・総理役のルー大柴が、この物語の裏主人公だと思っていて
「こんないい俳優だったっけ?」と感心しました
あくまでも大人向けの仮面ライダー、そこを
忘れずに視聴することをオススメします\(^o^)/