ボブ・オンデカーク主演のアクションコメディ映画の感想です。
監督:イリヤ・ナイシュラー
主演:ボブ・オンデカーク
<あらすじ>
妻と子供の2人暮らしの平凡な男ハッチ・マンセル(ボブ・オンデカーク)は家庭でも職場でも尊敬されていない。
職業は、義父の工場の会計士で、自宅と工場を行ったり来たり、たまに父親のデイビット(クリストファー・ロイド)の居る老人ホームに顔を出すくらい。
ある日の夜、自宅に強盗が押しかけ、反撃のチャンスがあったのに、ハッチは見逃す。強盗に殴られた息子に責められ、自分の不注意もあり、彼はしょぼくれる。だが、娘の「猫ちゃんのブレスレット」が盗まれたと思ったハッチは強盗の捜索を始める。
<感想>
出たー「ナメてた奴が実は殺人マシーンもの」!「ジョン・ウィック」「イコライザー」と同じ、もはや一つのジャンルになっている奴ー!
序盤の平凡な日常、家族からも職場でも軽く扱われるダメ親父、そこからの?タメを持たせて爆発させ、フラストレーションを吹き飛ばす奴!
そこまでの展開が「冴えない親父の日常物?」等と事前に情報を入れずに観ていたら、そういう事でしたか😆
自宅に強盗が入って、反撃のチャンスがあったのにしないのは、強盗が怯えていた「雑魚」でしかも拳銃に弾が入っておらず、盗まれた金もたいした金額ではないからでしょうね。
でも、娘の「猫ちゃんのブレスレット」がどこかにいってしまい、強盗に盗まれたと早合点したのが運の尽き(誰の?)
義父の息子チャーリー(ビル・マクレラン)に銃を突きつけられてビビったのは、相手が素人なのでロクに銃の扱い方を知らないからだったと。
会社の自分の個室で、何者かと通信しているあたりで「?」となって、強盗の手首に彫られたタトゥーを目ざとく見つけていたハッチは、それを元に強盗の捜索にあたる。
タトゥーショップで、自分の身分を偽るがそれがバレて、ハッチはボコられるのかなと思ったら、今度はハッチの手首にトランプのタトゥーが彫られているのを見た退役軍人がドン引き、そそくさと別室にこもり(10個くらいカギを閉めるw)「退役ご苦労様です」と言い、周りの用心棒もドン引き。
強盗を突き止め、時計を奪い返すも、ブレスレットは戻らず、しかも彼らには赤ん坊がいるのでハッチは諦めて何故か壁に拳を叩きつける。
帰りのバスで、チンピラの集団が暴れているシーンでとうとう彼の中にある何かが爆発する!ハッチはピストルを持っているのに、何故か弾を抜いてチンピラ達と肉弾戦をする。
ここは、おそらく「イコライザー」のマッコールばりに本当は瞬殺出来るのに、わざわざ相手に先に殴らせるのは、正当防衛を成立させたいのと、「痛み」が欲しかったから殴り合いに持ち込んだんでしょうね。
わざともたついた感じなのも「長く楽しみたいから」チンピラ共をボコボコにし、その中のひとりが死にかけているのを、応急手当する。手際の良さは、彼が「こういった事」に手慣れている事を示している。
だが、助けたチンピラが、ロシアン・マフィア「ユリアン・クズネストフ(アレクセイ・セレブリャコフ)」の弟だった為、事態はどんどん大事になっていく。
ユリアンは、情報屋にハッチの正体を探らせるも「私、この仕事降りる、頑張って」と半ば見捨てられる。
写真がチラリと見えて、そこには死体だらけ。ユリアンは、一応ハッチと対称性を持たせた存在として描かれていて、同じ「会計士」マフィアの年金「オブシャク」を管理していてその仕事に彼は倦み疲れている。
そして、ユリアンは手下にハッチの自宅を襲撃させるけどもう観客にはハッチの正体が分かっているので「やめておけw」と突っ込まずにはおられないw
家族を地下室に避難させ(あらかじめセキュリティが万全w)「911には通報するな」と妻に告げる。ここは、そうしないと自分が楽しめ無いから、自分の凶暴性が発散出来ないから。自分も銃で対抗すればいいのに、バットや包丁で戦うのも、長く暴力を楽しみたいから。
いったん捕まって車の後ろに閉じ込められるも彼にとってはそんなのは些細な事で
あっさりと脱出、襲撃者を撃退し、娘以外の家族に惨状をさらし家族を逃がす。
隠していた財産を使って義父の工場を買い取り感覚的にハッチの正体に気づいていたであろう義父はすんなりと明け渡す。同じ元軍人同士だから「匂い」でわかったんでしょうね。
そしてハッチは、捕らえた襲撃者を聴衆にして自分の正体を明かす。「昔、3文字の組織(おそらくCIA)に所属し、そこでいわゆる汚れ仕事”会計士”をしていて、金を
ちょろまかした奴を逃し、そいつのその後を確かめたら、家庭を持って幸せに暮らしていたのが羨ましくて、自分もああいう普通の暮らしがしてみたいと思って組織から引退、名前を消し(ノーバディ)、妻と知り合い、現在の暮らしを築き、思っていたよりもよかったけど、嘘だと薄々わかっていた」と告白する。
なお「猫ちゃんのブレスレット」は工場にある自室に落ちていて、完全にうっかりミス、こういう事態になる必要がそもそも無くて、やっぱり自分の凶暴性を押さえる事が出来なかったが故に、こうなったと。いわゆる「むしゃくしゃしてやった、反省はしていない」ってやつw
紐付きの地雷を身にまとい、ユリアンのいるクラブに「手打ちにしよう」と持ち掛けるも、たぶんそれは嘘というか実は挑発で、その理由は、ハッチが車で待機している時に両手の指を交差させていることからもわかる。
ここでの指の交差の意味は「幸運を祈る」で「手打ちが成立する事」を祈っているのではなく「挑発に乗って、ユリアンがこちらを襲撃してくれないかな」と祈っている。
そして最終決戦、買い取った工場で、あらかじめ準備していた罠や、自分と同じ凶暴性を持て余していた父親、腹違いの黒人の弟(通信していたアイツ!)とつるんで襲撃者をほぼ一方的に「殺戮」する。「対決」とかいう生易しいものではないですよねこれw
「報復の連鎖ガー」とか突っ込まれそうですがこの映画はあくまでもエンタメ極振りなのでそんな事はお構いなし「皆殺しにすればいいじゃん!」というひどい精神性で解決。ユリアンも凶暴だけど、相手があまりにもキチガイ過ぎて彼も結局無惨な最期。
最後、金に困る事をあらかじめ想定にいれていてユリアンから奪った高価な絵画「アルルの寝室(ゴッホ)」をおそらくは売却し、家族と新天地でやり直そうとしてEND
なお、この絵画の意味としては「休息」や「夢」を暗示しているそうなので、それを売り払ったという事は、ハッチはもう普通の暮らしを送る事を辞めたという意味なので、この先どうすんの?と思いましたね😅
シーン毎にさしはさまれる曲が、完全にブラックジョークだったりエグイ暴力描写(スナイパーライフルで、同じ射線上の3人を貫通とか)とにかくテンポが良く、上映時間が約90分である事からも分かる通り、娯楽作品で、同じ様なダメ親父に送る父親の願望充足作品というか「オヤジ向けのなろう系」になっているんじゃないかなと。
暴力描写のエグさが、もはやコメディの域に達している本作、むしゃくしゃしている時に観るのが、おススメです\(^o^)/