にきさんすけのバラエティショップ

ASD自覚者(確定診断未実施)が、映画や漫画等の感想を書いてます

自分が「人間では無い存在」である事に気づかされてしまった 作:上野顕太郎 漫画「さよならもいわずに」感想

上野顕太郎先生が、妻を亡くした哀しみを

記録した漫画の感想です

 

 

<感想>

まず、私は上野先生を知る事になったきっかけは

永田カビ先生の漫画「迷走戦士 永田カビ」で

カビ先生が作中、この上野先生の漫画を読んで

「人ってこんなに人の事を愛せるんだ!」とショックを受ける

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どうも、カビ先生の両親が見合い結婚をして

両親の間には愛情が無く、「夫婦というものはそういうもの」だと

それまで誤解していた

 

で、読了後感じたのは、「カビ先生、私もです」って事

 

自分が「愛を知らない人間」、それはつまり「人間では無い存在」で

なんというか「ブサ男版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」なんだと

嫌でも自覚させられてしまいました

 

ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の私の感想はこちら↓

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私の両親も見合い結婚で、母親が両親から強制的に

結婚させられたので、大人になって気づいたのですが

仮面夫婦」だった

 

でも、子供時代にはそういう事が分からなくて

「夫婦ってこういうものなんだ」と疑問に思わずに

過ごし、結果、不健康な人間関係を学習してしまった

 

本作の内容としては、夫と妻の「キホ」、娘の3人暮らしの家族で

妻が、ある日突然倒れているのを発見し、病院に

緊急搬送されるも、妻は帰らぬ人となる

 

そして、葬儀の準備が行われ、葬儀

火葬場で妻が焼かれ、納骨というプロセスが

淡々と描かれるも、上野先生が

「倒れている妻を発見した時に、もっと何か出来なかったのか」

「いや、そもそももっと早く異変に気付いていれば

倒れなかったのでは?」とか、ダブルベッドの妻の枕の匂いを

嗅いで妻を失った事を確認したり、妻とカラオケをしたり、ゲームを

遊んだりした事を思い出したり

「誰か俺を狙撃してくれないもんだろうか(希死念慮)」

と絶望したりとか、全編「キホ、キホ、キホ」と、妻を

失った悲しみと妻への愛が描写され、カビ先生が衝撃を受けたのも納得します

 

自分や、自分の家族がおかしかった事を、上野先生の家族が

楽しく過ごしている生前のシーンや、妻を亡くして悲しんでいる

上野先生を見る事で,、こちらが逆照射されるんですよ

 

「ただいま」「おかえり」「おはよう」「おやすみ」が無かった

「食事が父と姉と自分のみで、母は一緒じゃなかった」

「家族団らんがそもそもなかった」「家族が病気になると、本当に

病気なのか父親から疑われ、医者に連れていくのを嫌がった」とか

「言うこと聞かないとご飯食べさせないよ」と言われて親のいいなりにされたり

そんな事を思い出し、「この漫画で描かれている事って、本当なの?」って

思う自分がいかに、「人間では無い存在」なのかを

思い知らされて、呆然としました

 

漫画は、上野先生が自宅に帰る時に「ただいま」と言い

最後に再婚相手らしい人から「おかえり」と言ってもらい

円環が閉じて終わりますが、自分の非人間性

嫌でも自覚させられて、「どうしよう、自分は人間じゃないんだ」と

読了後、しばらく途方にくれました😩

 

「『愛してる』を知りたいのです😭」