チョン・ドヨン主演のアクション映画の感想です
監督:ピョン・ソンヒョン
主演:チョン・ドヨン
<感想>
冒頭のヤクザを殺すシーンで主人公キル・ボクスン(チョン・ドヨン)
がシングルマザーであるのを自分から
告白し、「何事も公平にしたほうがいい」という
娘のアドバイス通り、最初ボクスンはヤクザと対等に
戦うけど、形勢不利と見るや結局銃で殺す
ヤクザの背中の入れ墨が示す通り、彼女は
殺し屋とシングルマザーの2面性があって
娘のキル・ジェヨンは思春期真っ只中、そして彼女は同性愛者である
事がわかるのですが、韓国での同性愛者への差別は
強い様なので、それをカミングアウトするのは
社会的には終わってしまう模様
ボクスンは、殺し屋だけど表向きは
MKエンターテインメントというイベント会社に所属している
という態で、彼女は昔父親からDVを受けていた過去があり
そこを現在のMK代表チャ・ミンギュに拾われた
そこでは殺しが「作品」という隠語で呼ばれていて
彼女は組織では超A級の殺し屋で、他の会社の殺し屋から
も尊敬されている凄腕
で、その優秀さが却って代表の妹チャ・ミニからは
疎んじられていて、新人の殺し屋キム・ヨンジとの
対決を吹っ掛けられたりして、ここらへんは普通の会社で
働く女性同士の陰湿さを表現しているっぽい
娘のジェヨンが同級生のユ・チョルに同性愛者で
あるのをバラされそうになるのを、ジェヨンが
怪我を負わせてボクスンは学校に呼び出される
ボクスンとしては、娘が自分の殺し屋の才能を引き継いで
しまったのでは無いかと危惧する
ボクスンにしてもジェヨンにしても、お互いに言えない
秘密を抱えている
殺し屋とシングルマザーの両立に限界を感じた
ボクスンは、引退しようとするが、そこで
した最後の仕事で彼女はターゲットの事情を知ってしまい
いままで100%の成功率を誇って来た暗殺に失敗する
代表のミンギュだけど、彼も彼でただの代表では無く
ロシアの殺しを自分で請け負い、彼が戦闘能力の
高い人物である事が分かる
ボクスンから電話があり、彼女が暗殺に失敗した事が
わかると、別の会社の殺し屋で、飲み仲間に暗殺を完遂させ
ボクスンはその飲み仲間達から殺されそうになる
ここらへん、殺し屋というより資本主義社会の
厳しさを表現している様な気がします
5対1という、一見絶望的なシチュエーションにも
関わらず、ボクスンは生き延び、彼らを皆殺しにする
いつもは仲良く談笑していたのに、金が絡むと
あっという間にお互い殺し合いを始める
加勢してくれた新人の殺し屋ヨンジに
「なんで助けたくれたの?」と聞くと
「先輩の味方についた方が有利だと思ったから」
の台詞でもその功利主義がわかる
場面が変わって、ミンギュとミニのやりとりで
ミニは、兄であるミンギュに兄以上の感情をおそらくは
抱いていて、だからボクスンの事が気に入らず
嫌悪というより嫉妬をしている
ボクスンが他社の殺し屋を殺してしまった事で
組織の秩序は乱れ、MKは崩壊する
ミンギュは、ルービックキューブをいじっている事からも
なによりも秩序を重んじる男であり、ならば
ボクスンを殺せばいいのに殺せない
凄腕の殺し屋であるボクスンをさらに上回る
手練れなんだけど、ミンギュはボクスンを殺せないのは
彼がボクスンに始めて会ったその日から
彼女を愛してしまっているから
それは、ボクスンとの最終決戦で、ボクスンが
脳内で何回シミュレーションをしてもミンギュに勝てないので
ミンギュがボクスンを想っているのを利用して(精神攻撃は基本)
ボクスンが勝利を収める事でわかる
ミンギュからすれば失恋した様な感じ
だが、実はそのシーンは撮影されていて、ジェヨンに
その動画を送り付けられた事で彼女の正体はジェヨンに
知られてしまうが、ジェヨンは知らない振りをする
「国の諜報機関に勤めているんでしょう?」と
ジェヨンから問い詰められ、そうだと告げるボクスン
でも、動画を見た事でジェヨンは母の真の姿を知るけど
逆に彼女は母を知る事が出来て嬉しい
最後、学校に行きジェヨンは自らの同性愛を
カミングアウトせずに学校を去って映画は終わる
それは、母親であるボクスンが、殺し屋である
事実を公表出来ないから、ジェヨンは母に共感した事を表している
ミッション系の学校を辞めるという事は
韓国の競争社会から降りるという事なので
彼女は母と同じく殺し屋になっちゃうのかな?
ジェヨンの表情は、すがすがしい笑顔なので
彼女は納得しているからいいのだと思います
ただのアクション映画かと思いきや、若干社会派の様な
不思議さを持った映画、おススメです\(^o^)/