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最終エピソードの原題に込められた監督の悪意 amazonプライム ドラマ「キラー・ビー」感想(2023年公開)

amazonプライムの海外ドラマ「キラー・ビー」

全7エピソード視聴後の感想です

 

監督:ドナルド・グローヴァー

ja.wikipedia.org

主演:ドミニク・フィッシュバック

youtu.be

蜂の一刺し

蜂の一刺し

  • ダムソン・イドリス
Amazon

 

<感想>

なんというか、アメリカの芸能界や社会情勢を

知らないで見ると、「ポップスターに憧れるメンヘラシリアルキラー

女子が、逃避行の果てに承認される」話にしか見えなくて

私の理解力の限界を思い知らされました

 

まず、このドラマに出て来る架空のポップスター「ナイジャ」ですが

モデルは「ビヨンセ」である事はほぼ確実で(ビヨンセの相性がQueenBee)

劇中で主人公のドレ(ドミニク・フィッシュバック)が彼女を

噛んでしまうのは、現実にビヨンセが噛まれた噂を元にしているらしく

 

「本作品はフィクションではない、実在の人物や事件との

類似性は意図したものである」と告知している様に

 

メタフィクションの側面を考慮に入れて視聴する心構えが必要の様です

 

監督のドナルド・グローヴァーは、多方面に渡り才能を

発揮している人で、YouTubeでも「チャイルディッシュ・ガンビーノ」

という別名で活躍している(再生回数は億を超えています)↓

youtu.be

見てもらえれば分かると思いますが

アメリカの黒人が置かれている状況を表現していて

 

監督の彼が、私が最初に抱いた感想の様な話を

作る訳が無く、7つのエピソードがどの様な意味を持つのかを

読み解く必要がある様です

 

エピソードの1~5までは、追い詰められた主人公である

ドレが、映画「JOKER」の様に社会を降りる感じで

殺人を続け、全米各地を逃げ回り、いったん故郷に戻り

そこで彼女の生い立ちが同情の余地のある物である

事がわかるのですが、エピソード6がなんといきなり

モキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)になって

ドレを捜索している刑事を追う映像に切り替わる

 

で、それから最終エピソードになるのですが

日本語のタイトルだと意味が不明な終わり方で

「え、ハッピーエンド?何それ?」みたいに

感じますが、原題をちゃんと見ると

「ハッピーエンドを創造できるのは神だけ(Only God Makes Happy Endings)

なんだそうで、プライムビデオのサイトで見ても

英語の原題が読めないので、監督の悪意が分からなかったです

 

最後、ドレはコンサート中のナイジャ(顔が姉になっている)の

ステージに乗り込み(現実に有った事件を元にしている)

彼女に守られて一緒の車に乗り込むけど

このエピソード自体が実は映画「キング・オブ・コメディ」の

様な彼女の妄想で、序盤で警察の捜査の手が迫っている事からも

彼女は既に捕まって刑務所に入っていて、そこで見ている

夢なのではないかなと見做さなけらばいけないんじゃないかと

 

このドラマを作っている「神(God)」は監督の

ドナルド・グローヴァーなので、付け足しの様な

ハッピーエンドをまともに受け止めてはいけない事が分かる

 

受け手のリテラシーが問われる、メタフィクショナルな

ドラマでした、おススメです\(^o^)/