映画の感想です
監督:リドリー・スコット
<あらすじ>
ウェイトレスのルイーズ(スーザン・サランドン)
ふたりは2日間の旅行に出かけるも、テルマが酒場で
出会った男にレイプされかけるのを、ルイーズが男を射殺
してしまった為に旅行が逃避行に変わる
<感想>
まず、私は「ベクデル・テスト」という言葉を知らなくて
無知も大概にしろよと自分を責めたくなりましたが
映画を評価する際に、ジェンダーバイアスの測定の為に
用いられるテストで、映画の中に最低2人の女性が出るか
その会話の中で男性以外の会話が出るのかを問われるそうです
そのテストにこの映画は合格(?)しているので視聴しました
で、この作品ですが、テルマは最初支配的な夫に
おずおずとだが、書置きを残してルイーズと旅行に出かける
どうやら夫は浮気しているっぽくて、嫌な感じ
旅行中にふたりが酒場に寄り、そこでべろんべろんに
酔っ払い、男にナンパされテルマが危うくレイプされ
かかるところをルイーズが救う
男の一言で、ルイーズはたまらず射殺しちゃうけど
この時点では「え、それはやり過ぎじゃないの?」と
突っ込みたくなる
たしかに、シチュエーションからすれば、警察を
呼んだとしても、テルマに落ち度があったと見做される可能性は
高いですが、何も殺す必要はないんじゃないかと
とりあえずそこから逃げ出し、「お金が無い」と混乱して
ルイーズは元彼と思われる男に助けを求める
テルマは夫に電話するけど、電話に出た夫はスポーツ中継に
夢中でロクに話を聞かない
ルイーズはテキサスに逃げようと決意し
その途中で元彼に再会、求婚されるも、もう彼女は
行きずりの男と、夫以外の男と初めてのセックスをする
最初のおどおどした振る舞いと違って、テルマはどんどん
解放されていく(結婚指輪外しますしね)
でも、行きずりの男(まだブレイク前のブラッド・ピット!)に
お金を盗まれ、さあどうしようかといったところで
テルマがなんと強盗を働く!
共に犯罪を犯した者同士として、ここでふたりは
本当の意味で親友になった気がします
そして、この映画でただひとりのまともな男
刑事のハル(ハーヴェイ・カイテル)は
おそらく、女性が被害者になる様な事件を多く担当している
経験からか、彼女たちに同情してなんとかふたりを救おうとする
でも、ルイーズは応じない
テキサスで嫌な思い出があるから
テルマが問いただした様に、おそらくルイーズは昔テキサスにいた時に
暴行を受けて、それを警察に訴えても助けてくれなかった
過去があるから、警察のお世話には嫌でもなりたくないんでしょう
テルマが主婦で、家庭に閉じ込められていた世間知らずなのと
ルイーズのつらい過去、周囲の男がろくでなしである事
テルマとルイーズが、こう言っちゃなんですがあまり
賢くないという要素が合わさって事態は収拾がつかなくなっていく
後半のろくでなしトラック運転手も、ふたりに対する
完全なセクハラにも関わらず、謝罪したり行いを改めたりしない
シンプルに言って、女性に対する「リスペクト」が無いので、ふたりに
自分のトラックを爆破されるというシバかれ方をされる
逃避行の最中に、ふたりは周囲の景色を眺め
「社会はクソだけど、世界ってこんなに美しかったんだ」と
気づいてどんどん覚醒し、エネルギッシュになっていく
「社会から降りる」と、どんな作品でもみんな
活力を得る、又は取り戻すんですね
だけど、ハル刑事が「頭が良くて、ついていても、必ず限界が来る」
と言う通り、ふたりはとうとう追い詰められる
ふたりが行こうとしているメキシコは、「ここでは無い何処か」なので
やっぱり行けない
けれど、もうふたりにはそんな事はどうでもよくなっていて
銃をチラつかせたパトカーとヘリの群れに背を向け
(ハル刑事は最後までふたりをなんとか救おうとするけど)
「友情のキス(決して「百合」では無い親愛の情)」をして
崖に突っ込み、映画はニューシネマ「俺たちに明日はない」
に酷似した終了の仕方をする
今回、フェミニズムという視点で映画を
チョイスしてみました、おススメです\(^o^)/