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「とんでもねえ、待ってたんだ」午後ロー放送5560回記念 映画「コマンドー」解説(1985年公開)

 午後のロードショー5560(ゴゴロー)回放送記念に放送された映画「コマンドー」の解説です。

 

監督:マーク・L・レスター

主演:アーノルド・シュワルツェネッガー

 

 今回は、余りにも有名な映画なので、感想よりもこの映画の魅力を解説します。

 

<日本語吹き替えの魅力>

 まず、この映画の魅力のひとつとして翻訳の妙があると思っていて、冒頭メイトリックスの元部下ローソンが殺されるシーンで相手のクック(ビル・デューク)が英語字幕だと「Don't worry.We won't(大丈夫、待ってた)」だと味気ないですが、吹き替えだと「とんでもねえ、待ってたんだ」という台詞になっていて、凄く味わい深い。

 

 ちなみにクック役のビル・デュークは、「プレデター」でシュワルツェネッガー演じるダッチ・シェイファーの部下を演じていてなんか節操がない感じ😅

 

 次にクックは、車のセールスをやっているこれまた元部下のフォレスタルのセールストーク聞いたのち、彼をひき殺す場面でフォレスタルが「今や巻き返しの時です」から始まる軽妙な語りも、声優の秋元羊介さんの声の力で楽しさが増していて、そして主人公ジョン・メイトリックスを演じるのアーノルド・シュワルツェネッガーですが、彼は元ボディビル出身の、こう言っちゃなんですがあまり知性を感じさせない人物で、劇中の登場人物も彼を「筋肉モリモリマッチョマンの変態」と評している。

 

 だけど、吹き替えを玄田哲章さんがすることで、彼に知性が加わるというのがまた素晴らしい!

 

<全て筋肉とそれによる暴力で解決する>

 とにかくシュワルツェネッガーの、筋肉とそれによる暴力がこの映画の魅力というかキモなので、ほとんど彼のゴリ押しで話しが展開されます。

 

 娘がさらわれて、それを追おうとするけど車が壊されて動けないけど、メイトリックスは車を力づくで動かして追跡をしようとする(まあ失敗するけど)

 

 次に、娘を人質に取られてメイトリックスは仕方なくアリアスの言う事を聞き、旅客機に監視を付けられているシーンでその監視役にひじ鉄を喰らわせた後首折りで瞬殺!

 

 脱走がバレるのを防ぐために、もう一人の監視役を追って、電話ボックスに入っているそいつをボックスごと持ち上げたりとか、とにかく「筋肉は全てを解決する」というシーンのオンパレードで、観ているとこちらの頭がどんどん悪くなっていって最高(褒め言葉)

 

<「人を殺して捨て台詞」>

 そしてこの映画、今となっては作りづらいであろう「勧善懲悪」の物語で、相手は悪人なのでとにかく暴力描写が容赦無く、そこでメイトリックスが言い放つ台詞がいちいち気が利いていて「あんた主人公だよね?」と問いただしたくなるんですよね😅

 

 最初にベネット達が襲撃して来て、劇中最初にメイトリックスが相手を殺すシーンで相手が「OK?」と聞いて「OK!」と返しぶっ殺すとか、旅客機内でとなりの監視役の男を絞め殺し、キャビンアテンダントに「相棒を起こさないでくれ、死ぬほど疲れている(もう死んどんねん!)」とか、もうひとりの監視役を捕まえて、利き腕じゃない腕でそいつをぶら下げながら崖まで案内して「お前は最後に殺すと言ったな、あれは嘘だ」等と、吹き替えの妙もあってウィットに富んだ台詞が楽しめます。(しかもこの後自分達が乗っている車が使い物にならなくなったので監視役の車を力づくで戻し、やはりここでも筋肉で解決!)

 

<いい加減なミリタリー描写とダイナミックショッピング>

 私は特にミリタリーには詳しく無いのですが、それでもこの映画のミリタリー描写にはツッコミどころが満載で「そうはならんやろ」的な箇所を見つけるのも楽しいです。

 

 モーテルでのクック戦ですが、クックの設定は元グリーンベレーなのに、こいつ自分が撃った銃の弾を数える事が出来て無くてメイトリックスを仕留め損ね、結果逆襲されちゃうんですよね。

 

 それと最後、メイトリックスが娘のいる孤島に乗り込みあちこちに爆弾をしかけますが、あれは対人地雷クレイモアなので、そもそもあんなに爆発しないで内部の鉄球を飛ばして人を殺傷する兵器なんじゃないんですかね?🤔

ja.wikipedia.org

 

 しかもこのシーン、娘のジェニー(アリッサ・ミラノ)がどこに閉じ込められているかもわからないのにメイトリックスはそれを考慮に入れず、どんどん建物を爆破しまくり…

 

 この孤島に上陸する前に、メイトリックス達(シンディという女性が割を食って巻き込まれていて、この人がいい人じゃなかったらこの話詰んでいるんですよね)は軍の放出品がある店(閉店中)に「ダイナミックショッピング(という名の強盗)」をするんですけどここらへん、あまりにも遠慮が無さすぎだけど「こんな事いいな、出来たらいいな」という「ドラえもんイズム」を感じさせます(孤島上陸後の、「装着シーン」何度も真似したなー😊)

 

<対ベネット戦に見られる、ベネットのゆがんだメイトリックス愛>

 コマンドーWikipediaを参照してもらえるとわかると思いますが、敵役のベネットって若干メイトリックスにゆがんだ同性愛的な感情を持っている疑惑があるのはたしかに否めないんですよね…(ベネットの項を参照)👇

ja.wikipedia.org

 

 そう思ってベネット視点でこの映画を観ると、メイトリックスにある意味憧れていたけど、冷たくされてもう一度彼に近づきたいと思って、娘を人質に取る事で想いを遂げようとするも、結局はフラれる話に見えなくも無いです(北村紗衣さんという方が、大変興味深い記事を書いています)

youtu.be

 

 既にDVDを持っている方も、おそらくテレビ放送されるとつい見てしまう魅力にあふれたアクション映画、おススメです!😆