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スペースオペラの醍醐味を味わえます、有無は言わせん! Disney+ドラマ「マンダロリアン」S3感想

 Disney+ドラマ「マンダロリアン」S3の感想です。

starwars.disney.co.jp

 

<感想>

 終わってみれば、主人公のマンダロリアンことディン・ジャリンの「行きて帰りし物語」でしたね。

 

 辺境の賞金稼ぎという周縁化された存在だったけど、グローグーを守る内に復活を目論む帝国や自分を狙う賞金稼ぎ達と戦ったり、困っている人々を助けていく内に彼が触媒となって、散らばっていたマンダロア兵団が結束し、この作品内での親玉モフ・ギデオンを倒し、グローグーを養子に迎え「父親」となり、本家スター・ウォーズで無し得なかった「父と息子の関係性」をやり直し、物語の最初とは違う存在になりますからね。

 

 S1のチャプター1を見返してみればわかりますが、ディンが酒場に入る場面から始まり、酒場の扉を瞳に例えれば、あそこで「アイリスイン」していて、最終話のチャプター24ラストで酒場のシーンになるけど、ディンは同じ賞金稼ぎでも最初とは違って子持ちになっていて、一番最後にクローグーを映して「アイリスアウト」しているとか憎い終わり方で、一部の隙も無い見事なスペースオペラでした。

 

dic.nicovideo.jp

 

 さらにいいところを挙げてみると、この作品世界がいろんな宇宙人で構成されているところもあるんでしょうけど「男女平等」が当たり前に存在していて、現実世界の男尊女卑がいかにノイズになっているかが逆に分かるんですよねー。それと恋愛が主題で無い限り、恋愛描写も基本余計な物である事が、マンダロリアンでは描かれていないからこそ却ってその事が強く感じられました。

 

 このスピンオフ作品が本家スター・ウォーズのエピソード6と7の間の時期を描いている事は正直脇に置いてというか、その事を忘れるくらいこの作品単体で楽しめました。

 

 以下チャプター毎の感想

<チャプター17「背教者」>

 ジェダイの修行をしていたと思ったグローグーがディンの元に居る!どうも別のスピンオフ作品でグローグーはジェダイの修行を辞めてマンダロリアンになる選択をした模様。まあそうしないと本家と矛盾しますからね。IG-11が英雄になってる!それと新しい宇宙船がカッコイイ!

<チャプター18「マンダロアの鉱山」>

 グローグーに表情が出て来て成長が伺える。マンダロアの故郷が復活出来る兆しあり。ボ=カターンの船「ガントレット」が往年のシューティングゲームグラディウス」の「ビックバイパー」みたいでカッコイイ!

<チャプター19「改心」>

 タイトルが完全に皮肉。ディンとボ=カターンがした事は「贖罪」だし、ドクター・パーシングは改心しておらず、自分の知識の探求にいそしんだ挙句洗脳されちゃう場面なんかは「未来世紀ブラジル」っぽい。改心しているのはモブである元帝国に所属していたけど止む無く働いていた人達で、ここらへんやっぱり戦後処理のゴタゴタという側面がありますね。

<チャプター20「孤児」>

 贖罪を済ませマンダロア兵団に戻り、孤独では無くなったディン。マンダロアの子供で元は孤児だった子が獣にさらわれそれを助け、結束が深まる。獣の子供たちをなんと「孤児」扱いして自分達で育てようとするのはなんか不思議な感じ。

<チャプター21「海賊」>

 帝国崩壊後の、しかも舞台が外縁部なのでそこによく居るならず者である海賊とのバトル。ここはスペースオペラの醍醐味を味合わせてくれ、新共和国の兵士がディンに助力を請うところは「所属では無く人と人のつながり」が強調されている。ディンが触媒とすれば、ボ=カターンはマンダロアを結束させる橋渡し的存在である事が分かって来る。

<チャプター22「傭兵」>

 マンダロリアンの結集が始まり、その間ここでなんとSF探偵物が始まる!ここらへん我々現実世界のオートメーション化の批判が突如された感じがします。S1で出て来た「有無は言わせん」おじさんこと、クイールと同族のアグノートが「有無は言わせん」とおんなじ台詞を言うのは笑ってしまいます(合言葉なのかな?)

<チャプター23「スパイ」>

 帝国が復興をもくろんでいるも、けっして一枚岩では無いのが分かる。ここまでで帝国とマンダロア兵団が鏡像関係にあると思っていたのが、相手の帝国もベスカーアーマーをつけてマンダロリアンと戦いを挑んでくるのでそれがより強調されると思ったけど、マンダロリアンは帝国という共通の敵と戦う為に結束が強く、鏡像というより対照的な存在として描かれる。ガトリング砲をぶっ放すオッチャンが尊い犠牲に……

<チャプター24「帰還」>

 モフ・ギデオンとの最終決戦。タイ・ファイターがコウモリみたいに出撃する。R5が活躍するのは本家っぽい。守られるだけの存在だったグローグーがディン達を助けるまでに成長しましたね。スター・ウォーズが「遠い昔、はるか彼方の銀河系で」で開始されるので、このスピンオフ作品も寓話では無く「昔話」で、だから勧善懲悪の物語が成立している。「相手にも事情があったんだ」みたいな展開はスター・ウォーズ的では無いですからね。

 

 たまには現実を忘れて明るいスペースオペラの世界に浸るのも楽しいですね。Disney+を利用しているなら観ないのはおかしいし、観るべきです!「有無は言わせん!」